皮膚悪性腫瘍について

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日本皮膚悪性腫瘍学会

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第41回日本皮膚悪性腫瘍学会学術大会について

第41回日本皮膚悪性腫瘍学会学術大会に関しましては、リンクよりご覧いただけます。

会期、会場は以下となります。

会期 2025年6月27日・28日
会場 グランドメルキュール札幌大通公園(旧ロイトン札幌)

皮膚の悪性腫瘍、皮膚がんの早期発見は、治療成功率を大幅に向上させる重要な要素です。

早期治療の可能性

皮膚がんは、早期に発見された場合、治療が比較的容易であり、治療方法も多様です。

早期段階での介入により、外科的切除や局所治療のみで改善する可能性が高くなります。

高い治癒率

特に基底細胞がんや扁平上皮がんのような一部の皮膚がんは、早期に発見し適切に治療することで治癒率が高くなります。

例えば、初期段階のメラノーマは治療後の生存率が非常に高いですが、進行すると治療が困難になり、生存率も低下します。

進行を防ぐ

皮膚がんは放置すると進行し、深い皮膚層や他の体の部分に広がる可能性があります。

早期発見によって、がんが他の部位に転移する前に治療を開始することができ、より積極的な治療法を避けることが可能になります。

コストの削減

進行がんの治療は非常に高額になる可能性があります。

早期発見による治療は、一般的により少ない医療リソースを消費し、医療費用を削減できます。

生活の質の維持

早期発見と治療により、皮膚の大きな欠損や長期的な副作用を伴う治療を避けることができます。

これにより、患者の日常生活への影響を最小限に抑えることが可能です。

これらの理由から、皮膚の変化を定期的に自己チェックし、異常を感じたらすぐに専門医に相談することが非常に重要です。

皮膚がんの早期発見は、より良い治療結果に直結し、命を救うことにもつながります。

皮膚悪性腫瘍について

皮膚がんは、例えば農業や漁業など、屋外での作業が多い職業に就いている方や、レジャーで頻繁に日光浴を楽しむ方々に多く見られることがあります。

これらの活動により顔や手足など、衣服で覆われていない部分が直射日光に晒されるため、皮膚がんのリスクが高まります。

例えば、アメリカのフロリダ州やオーストラリアのケアンズなど、日照時間が長く、屋外活動が盛んな地域では、皮膚がんの発生率が特に高いと報告されています。

これらの地域では、皮膚がんの予防として積極的な日焼け止めの使用や、日中のピークタイムにおける屋外活動の制限などが推奨されています。

さらに、皮膚がんは他の内臓がんと異なり、自分で見ることができるため、例えば浴室での入浴中にほくろの変化や新しい斑点を発見しやすいという利点があります。

自己チェックで異常を感じた場合、早期に皮膚科専門医に相談することで、初期段階での治療が可能となり、回復への道が大きく開けます。

そうすれば治療後の生活の質を大きく損なう可能性も低くなるのです。

以上のように、日常生活の中での注意深い自己観察と、異常を感じたら迅速に専門医の診断を受ける行動が、皮膚がんの予防と治療には不可欠です。

悪性黒色腫(メラノーマ)

悪性黒色腫(メラノーマ)は、その見た目が普通のほくろと非常に似ているため、早期発見と診断が特に重要です。

あくまで例ですが、腕にあるほくろが数ヶ月のうちに急速に大きくなるケースもあります。

当初は直径が5mmほどだったほくろが、2cm近くまで成長し、色も黒から茶色がかった黒に変化。

ほくろの形は左右非対称で境界が分かりづらく、部分的に色の濃淡が発生。

皮膚科で診察を受けたところ、初期の悪性黒色腫と診断。

早期発見により、患部の周囲3mmから2cmの範囲で切除手術が行われ、センチネルリンパ節の生検も同時に実施。

幸いなことに、リンパ節には転移が見られず、リンパ節郭清は必要なし。

この手術により、がんは完全に取り除かれ、その後の追跡調査で再発の兆候は見られていない。

上記はあくまでもイメージしやすいように作った例ですが、メラノーマの特徴を理解し、皮膚の変化に敏感であることが非常に重要です。

特に、

  • 左右非対称の形状
  • 不規則な境界
  • 色の濃淡
  • サイズの変化
  • 表面の隆起 など

一つでも怪しい兆候を見つけた場合はすぐに専門医の診断を受けるべきです。

早期発見と適切な治療が、メラノーマの治療成功率を大幅に向上させる鍵となります。

パジェット病(Paget病)

パジェット病(Paget病)は、主に汗腺由来の細胞が癌化する一種の表皮内癌です。

一般的には、初期段階と進行段階の病態を含めてパジェット病と呼ぶことがあります。

この病気ではパジェット細胞と呼ばれる特有の癌細胞が増殖し、初期段階では表皮内に限定され、真皮層への浸潤は見られません。

しかし、病状が進行すると、腫瘍細胞が真皮まで浸潤し「パジェット癌」と呼ばれる段階に至ります。

見分け方として、赤い斑点や皮膚の色素が抜けた白い斑点が現れ、これらは湿疹に似た外見を持つことがあります。

一部の人はかゆみを感じることがありますが、無症状である場合も多いです。

パジェット病の主要な治療法は外科的切除であり、その他の治療方法として放射線治療や化学療法も行われることがありますが、これらの効果は一般に限定的です。

治療計画を立てる際には、病変の周囲から離れた複数の場所で生検を実施し、切除範囲を決定します。

パジェット病が大きな原発巣を形成している場合、特に隆起している病変はパジェット癌への進行を示唆し、進行がんの可能性が高まります。

また、パジェット病は意外にも早期にリンパ節への浸潤や転移を起こすことがあるため、MRIやCT検査を利用してリンパ節の状態も調査することが推奨されます。

手術では、病変の周囲3~5cmの範囲を切除し、深さは皮下脂肪組織の中層まで及びます。広範囲にわたる組織の欠損が生じるため、通常は植皮によって修復されます。

リンパ節転移が疑われる場合にはリンパ節郭清術を行います。

女性の乳房外パジェット癌の進行例では、時に尿路変更や人工肛門の造設が必要となり、会陰部の組織欠損には筋皮弁を用いた再建手術が行われることがあります。

ボーエン病(Bowen病)

ボーエン病(Bowen病)は、有棘細胞癌と似ており、表皮の有棘層に位置する細胞が癌化する病態です。

この癌化した細胞の増殖は表皮内に限定されるため、「表皮内癌」とも呼ばれます。

真皮層への浸潤はなく、この段階では通常、転移のリスクはありません。

ボーエン病の皮膚は通常、赤みを帯びてムラがありますが、境界ははっきりしており、ほとんどの場合単発で現れます。

形は円形や地図状のパターンを呈し、表面はざらざらしており、細かいフケのようなものが付着していることが一般的ですが、全体としては比較的平らです。

稀に表面が隆起することもあります。

ボーエン病の治療には、局所的に病変部を切除またはアブレーション治療が採られます。

通常、腫瘍から約5mm離れた範囲で皮膚を切り取り、がん細胞を完全に除去することにより治癒を目指します。

ボーエン病自体は遠隔転移を起こすことはありませんが、治療を怠るとがんが進行し、真皮層まで侵食して有棘細胞がんに進化するリスクがあります。

有棘細胞がんになると遠隔転移の可能性があり、生命を脅かす事態に至ることもあるため、初期段階での適切な治療が非常に重要です。

有棘細胞癌

有棘細胞癌は、表皮の有棘層の細胞が癌化して発生する皮膚がんで、基底細胞がんに次ぐ発生頻度を持ちます。

明確な原因は特定されていませんが、紫外線曝露、慢性的な刺激や炎症、ウイルス感染、放射線への曝露などが関与していると考えられています。

特に、紫外線による日光角化症は有棘細胞癌へと進行する可能性のある前駆病変として重要視されています。

治りにくいびらんや潰瘍、赤い結節で出血しやすかったり、硬い角化した結節が出現した場合は有棘細胞がんの可能性があります。

病変が大きくなると、液がにじみ出たり悪臭がすることもあります。

これらの症状が見られた場合、生検をして病理検査により正確な診断を行います。

有棘細胞がんの治療には、腫瘍を切除する方法が一般的です。

治療法としては、がんを削り取り電気針で焼き切る掻爬および電気乾固、外科的手術による切除、がんを極度の低温で破壊する凍結手術、および皮膚に化学療法薬を塗る方法があります。

手術では、病変の周辺から0.5〜2cmの範囲で切除し、大きな皮膚欠損が生じた場合は、再建術(植皮または局所皮弁)を行うことがあります。

手術可能なのは通常、がんが皮下組織に留まり、遠隔転移がないⅢ期までです。

Ⅲ期であってもリンパ節転移があり、がんが大きい場合には完全な切除が難しいことがあります。

このため、がんの進行度に応じて治療方法を選択します。

基底細胞癌

基底細胞がんは、表皮の基底細胞や毛包の細胞から発生する皮膚がんで、皮膚がんの中で最も一般的です。

その具体的な発症原因は明確には特定されていませんが、紫外線の影響、物理的な外傷、放射線の曝露、やけど後の瘢痕などが関与することが知られています。

見た目は通常のほくろと似ていますが、基底細胞がんは青黒い色調をしており、表面が蝋のように光沢があり硬い腫瘤を形成します。

中心部が潰瘍化し、周囲の正常な組織を破壊しながら成長することがあります。

非常にゆっくりと大きくなりますが、成長が遅いため新しい病変に気付かないこともあります。

ただし、成長速度にはばらつきがあり、中には1年で1センチメートル程度大きくなるものもあります。

このタイプのがんは特に高齢者の顔面、特に眼の周囲や鼻に多く見られますが、転移することは稀です。

基底細胞がんの治療原則は適切な切除にあります。

境界が明瞭な結節の場合、辺縁から2~3mm離れた範囲で摘出すれば通常は十分です。

摘出深度は毛包が存在する深さにまで及ぶ必要があり、顔面の部位によってこの深さは異なります。

特に鼻翼部、眼瞼部、耳介部などの遊離縁が発症している場合は全層摘出が必要とされることが多いです。

基底細胞がんは表皮に発生するため、転移の可能性は低く、治療は通常、手術による切除で完結します。

再発リスクや整容面を考慮し、放射線治療も検討されることがあります。

治療方針はがんの大きさ、部位、進行度により再発リスクを分類し、低リスクの場合は4mm、高リスクの場合は5~10mmの範囲で切除することが推奨されます。